冬日偶成 塩原経央 霜晨(さうしん) 黒き土に白塩まだらにして、 朝暾(てうとん)輝く處 根深(ねぶか)項垂(うなだ)れて居並ぶ。 茶圃(ちやほ)のほとり 一木(いちぼく)蕭寥(せうれう)として佇(た)ち、 枯條(こでう) 碧空(へきくう)を掻いて愈(いよいよ)寒し。 已(すで)にして通勤車上の人、 遠望する富嶽は雪を戴いて儼乎(げんこ)たり。 座席を得て瞑目(めいもく)すれば、 夢は直ちに千年の春へ翔(と)ぶ。 (平成S年1月K日)
前へ→
詞藻樓表紙へ 文語の苑表紙へ