四王墓 臨(りんし)
臨 は齊の都。戰國策等にその繁華な樣が描かれしが、 今や全くなし。あるは王侯の墓のみ。町はづれの鐵道 沿ひに、威王・宣王・王・襄王の田齊四王の墓といふ 巨大なる陵墓立つ。
割據占東藩 割據して東藩を占め
代昌四岳孫 四岳の孫に代りて昌ゆ 昌ゆ=さかゆ
誇珠平陸會 珠を誇る 平陸の會
招士稷山門 士を招く 稷山の門
故國無喬木 故國 喬木無く
都城竟廢垣 都城 竟に廢垣なり 竟に=つひに
唯看霸王墓 唯看る 霸王の墓
曳影映荒原 影を曳きて荒原に映ず
[元]
東藩 東方の藩。ここは齊の國をいふ。
四岳孫 齊の國は、もと大公望呂尚により開かる。 呂尚(姜氏)の祖先は禹に仕へて四岳(四方の長 官)となる。ここは田氏が四岳の子孫たる姜氏に 代りて齊王となりしをいふ。
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