「白金の月」   宿谷 睦夫

 敷島の 大和の国は 東の 
   佐倉の里の
     ―    
 小野野辺に 幾山越えて 川越えて
   踏み分け入らは 
     ―      
 夜の帳 はや下ろされて 西の空
   佇み見れは   
     ―      
 白金の 師走の澄みし 淡き月     
   その月影を   
     ―      
 拝みむ 年の内にや 春は来ぬ   
   白梅の花   
     ―     
 咲き初めて 目には清かに 見えねとも
   その芳しき  
     ―     
 香やは隠るゝ 
 
     反歌   

 敷島の 小野野辺は早や 夜も更けて   
   白金の月 拝み迎へり  

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