「初春庭」  宿谷 睦夫
         
 朝戸出に 東の空 眺むれは
 目にも清けき   
  ―         
 陽炎の かの人麻呂も 佇みて
 眺めし明き    
  ―         
 影や見む 返り見すれは 西の空
 淡き月影     
  ―        
 傾きて 亡き父母か 故郷の    
  風に綻ふ     
  ―         
 梅か枝に はやおとなひし 鶯の 
 囀の声      
  ―         
 もとかしく 霜降る今朝の 格子戸に  
 佇みて聞く    
  ―       
 初春の庭

   反歌

  朝戸出に 綻ふ庭の 梅か枝に
  鶯の声 響く初春

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