九
冬日偶題
流光倏忽箭離絃
小姪過腰大姪肩
閨裡看他兩兒長
儂身更覺減芳年
冬日偶題
流光 倏忽トシテ 箭 絃ヲ離ル
小姪ハ腰ヲ過ギ 大姪ハ肩
閨裡ニ看他ル 兩兒ノ長ズルヲ
儂身 更ニ覚ユ 芳年ノ減ズルヲ
時の流れの早きこと
弦を離るる矢に似たり
腰を越えたる下の甥
肩に伸びたる上の甥
見守り過ごす日頃より
育ち長ずる二人の子
わが身の若さ減りゆくは
更なることと覚えんや
(文化十一年)
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