八 暮秋偶題 一歳三分欲盡時 菊花稍老柳無糸 近来嘱婢窓常掩 嫌見庭容次第衰 暮秋偶題 一歳三分盡キント欲スル時 菊花稍ヤ老イテ柳糸ナシ 近来 婢ニ嘱シテ 窓 常ニ掩フ 見ルヲ嫌フ庭容次第ニ衰フルヲ 季節は流る秋の末 盛り過ぎたる菊の花 糸葉消えたる柳あり 窓をおほはせ 庭をかくさば 老いる草木の見ゆるなく 衰ふ生も知らざりき (文化十一年晩秋)