爲某賦庭上百株松

直幹相依徳不孤
満庭移植翠陰敷
後来如使秦皇息
一日應封幾大夫



某ノ爲ニ庭上ノ百株ノ松ヲ賦ス
直幹相依リテ徳孤ナラズ
満庭ニ移植シテ翠陰敷ク
後来 如シ秦皇ヲシテ息ハシメバ
一日 応ニ封ズベシ 幾大夫



幹直ければ 相寄りて
徳具へなば 友あらん
松を植ゑたり 壱百の
葉陰はみどり 庭に満つ
その昔 雨やどりせる 大松を
大夫に封ぜし 始皇帝
いつの日か 行幸ありて 息ひなば
ほまれあらんや この松もまた

(文化十一年秋)

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