五 輓老師玉隣上人 飛鴻久不帶書來 筆硯何知埋積埃 遺墨如今藏在筐 毎開一幅一悲哀 老師玉隣上人ヲ輓ス 飛鴻 久シク書ヲ帶ビテ來タラズ 筆硯 何ゾ知ラン積埃ニ埋ルヲ 遺墨 如今 藏シテ筐ニ在リ 一幅ヲ開ク毎ニ 一悲哀 文を帶び飛來るべき雁なくば いかで久しく師を思はんや 知らざりき 積もれるちりに埋る あるじ在りせぬ筆すずりとや 今ははた 殘りし影や墨の跡 吾が寳にて竹筐にあり ひろぐれば一幅ごとに蘇へるせつなき思ひ よるべなからん (文化十一年)
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