『續・禹域遊吟』 其の五
溧陽 其二 りつやう そのに
溧陽へ來れば、孟郊を知る人無く、一帶の田地に水を引きて湖と爲し、
天目湖と稱す。
土民不識古賢名 土民は識らず 古賢の名
惟衒新奇誘客迎
惟だ新奇を衒ひて客を誘ひ迎ふ
驚見渺茫三百頃 驚き見る 渺茫三百頃
桑田引水號仙端
桑田に水を引きて仙端と號す
[庚]
○ 平成二十三年四月二十九日作
*土民 村人。
*古賢 孟郊を謂ふ。
*衒 自慢する。
*渺茫 べうばう。廣きさま。
*三百頃 頃は廣さの單位。ここはおよそを謂ふ。
*仙端 仙界の海。なぞらへ謂ふ。