『歐州紀行』 其の十五
也斯培哈城 聽海敦曲 エステルハージーじやうにて ハイドンのきょくをきく
エステルハージー侯の城に、ハイドンの跡を尋ぬ。昔、ハイドン演奏せしホールにて、椅子に座して曲を聽き、往時を偲ぶ。
龜年少小事岐王 龜年 少小 岐王に事へ
老大功成名譽長 老大
功成り 名譽長し
二百年前盛時曲 二百年前 盛時の曲
雅聲猶滿舊華堂
雅聲 猶滿つ 舊華堂
[陽]
○ 平成九年九月七日作
*龜年 李龜年。玄宗に事へし樂人。ハイドンを譬ふ。
*少小 年少。少年の頃。
*岐王 玄宗の弟の李範。杜甫の「江南逢李龜年」詩に「岐王宅裏 尋常に見る」とあり。エステルハージー侯を譬ふ。
*老大 年をとりて。