『歐州紀行』 其の十
萊茵河遊覧 ラインがは いうらん
獨逸旅行のハイライトは萊茵下り。白葡萄酒を酌みつつ緩やかに下り
行く。途中の山はローレライ傳説の岩なり。
訪到萊茵岸 訪ね到る 萊茵の岸
秋風吹二毛 秋風
二毛を吹く
泛舟碧流水 舟を泛ぶ 碧流水
酌酒白葡萄
酒を酌む 白葡萄
酷吏孤城古 酷吏 孤城古り
妖精絶壁高
妖精 絶壁高し
老來乘興少 老來 興に乘ずること少なるも
執筆作詩豪
筆を執れば詩豪と作る
[豪]
○ 平成七年九月十九日作
*萊茵河 歐州の大河。アルプスより出でて獨逸、和蘭を流れ北海に注ぐ。
*二毛 白髮と黒髮。白髮混じりの人。
*酷吏 河の中に島あり。苛酷なる通行税を取り立てし役人の話まつはる。
*妖精 ローレライの傳説。
*老來 年をとる。來は助字。
*詩豪 すぐれたる詩人。