『歐州紀行』 其の六
默昵庭園 モネていえん
巴里にては、足を延ばしセーヌ川下流ジベルニーに、黙昵の畫室を
訪ぬ。黙昵描く景色そのままに在り。部屋の中には、日本の浮世繪
の蒐集目を引く。
百里沿江遠市朝 百里 江に沿うて市朝に遠ざかる
四時繞屋草花饒 四時
屋を繞りて草花饒し
幽庭思得主人意 幽庭思ひ得たり 主人の意
柳蔭蓮池立小橋
柳蔭の蓮池に小橋に立つ
[蕭]
○ 平成六年九月九日作
*黙昵 モネ。佛蘭西印象派の代表的なる畫家。
*市朝 市場と朝廷、轉じて人の多く集る場所。
*四時 春夏秋冬。
*幽庭 奧深き庭。
*主人意 ここは黙昵の繪の創作意圖。