雨中太湖舟行 うちゅう たいこ しうかう 太湖北岸の無錫を船出して湖州へ向ふ。琵琶湖の三倍の廣さゆゑ、快速船にて も二時間半を要す。詩情そそるジャンクは、禁漁の故を以て姿を消し、廣き湖 面はただ茫々漠々。
朝來細雨春城 朝來の細雨 春城を(うるほ)す 楊岸出船湖水 楊岸に船を出せば湖水かなり 島影模糊鳥影沒 島影は模糊として 鳥影は沒す 茫茫恰似夢中行 茫茫 恰も似たり 夢中の行 [庚] ○ 昭和六十二年三月 *茫茫 ばうとして判然とせぬ樣子と廣々と果しなき樣子の形容。*楊岸 楊(かはやなぎ)の生ふる岸邊。
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