琅山 らうやさん 「(ぢよ)を環(めぐ)りて皆山也」の名文にて懐かしき琅山の酔(すいをう)亭を訪ぬ。 南京より大橋を渡り行けば、さほどの距離に非ず。高くはなけれど趣きある山と、青檀 (せいたん)と稱する珍しき樹々、潺湲(せんかん)たる溪水と相俟ちて幽邃境を成す。
醉勝地古山林 醉の勝地 古山林 一帶青檀蔽谷深 一帶の青檀 谷を蔽ひて深し 苔磴登來立幽處 苔磴(たいとう)登り來りて 幽處に立てば 清風如語往時心 清風 語るが如し 往時の心 [侵] ○ 平成元年三月 *河の名。安徽省東部を流れ、江蘇省にて長江に注ぐ。*琅山 安徽省縣西南の山。 *醉翁 北宋の歐陽修(一○○七〜一○七二)。字は永叔。州(安徽省)に長官として出されし 折、酔翁と號す。州の山水を愛し琅山にある亭に酔翁亭と名付け「酔翁亭記」なる 一文を著す。唐宋八大家の一人。 *青檀 まゆみの木の一種。*潺湲 淺き水の流るる樣。さらさら。 *苔磴 苔むしたる石の坂道(石段)。
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