『禹域遊吟』 その七十
慧遠墓 ゑをんはか
西林古塔より東林へ趨く途中、道傍の堤上に名僧慧遠の墓あり。丘壟中に打棄てられてあり。土墳の上部は崩れ、周圍は荒草に委す。その後、修復せしやを
知らず。
一徑纔通枯草邊
一徑 纔(わづか)に通ず 枯草の邊
土墳半壞傍荒田 土墳 半ば壞(くづ)れて荒田に傍(そ)ふ
香爐峯下東林寺 香爐峯下 東林寺
絶代高僧此處眠
絶代の高僧 此の處に眠る
[先]
○ 昭和五十六年十月
*慧遠 東晉の名僧(三三四〜四一二)。盧山の東林寺に住し、念佛結社(白蓮社)
を結ぶ。陶淵明、陸修靜と「虎溪三笑」の畫題に描かる。