陽歸元寺 かんやうきげんじ 文革後は何處の寺も人影なく寂れゐたり。 陽の名刹 歸元寺を訪ふに和尚、人民服に人民帽にて古書を賣る。
鐘磬不聞香氣除 鐘磬(しょうけい)聞かず 香氣除かる 蕭條冬日陽閭 蕭條たる冬日 陽の閭(りょ) 藍衣破帽老在 藍衣破帽の老在り 大佛堂前賣古書 大佛堂前 古書を賣る [魚] ○ 昭和五十四年一月 *鐘磬 釣り鐘と磬(の音)。奏樂の基本となるもの。磬は石あるいは玉にて作りし「へ」 の字形の打樂器なり。臺に吊して打鳴らす。 *香氣除かる 寺院に立込 むる香の匂ひ消ゆ。 *蕭條 もの寂しき樣子。 *閭 村里。
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