『禹域遊吟』 その六十一
發岳陽 がくやうをはつす
此の詩は三峽上りの船旅にての作なり。武漢より岳陽へ、岳陽にて下船、
一泊して洞庭湖を遊覽、再び乘船し、宜昌より白帝城を目指す。
黄鶴樓頭瞰江水
黄鶴樓頭 江水を瞰(み)
岳陽城上望君山 岳陽城上 君山を望む
荊南楚北極名勝 荊南(けいなん)楚北 名勝を極め
更向瞿塘白帝間
更に向ふ 瞿塘(くたう)白帝の間
[刪]
○ 昭和六十年八月
*黄鶴樓(くわうかくろう) 武漢にあり。
*荊南 湖南省を中心とする古の楚の地。
*楚北(そほく) 長江中流地帶の湖南省・湖北省を楚と稱す。此處は湖北省を謂ふ。
*瞿塘 三峽の一。白帝城の下にあり。