文語日誌
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文語日誌(平成十九年十月)
     
                  市 川 浩

安倍首相辭任
九月十二日(水)雨後曇

 正午前テレビ安倍首相の辭任を報ず。前日所信表明演説、本日は午後より代表質問の直前の辭意表明なり。テロ對策法の延長に就き民主黨との黨首會談呼び掛け不調が理由なりとするも、納得の行くものにあらず。識者多く閣僚の相次ぐ「不祥事」、地方の「格差」原因なりとす。或いは然らむも、この一年の論調、「戰後レジーム」の未だ堅固なるを見る。これに挑みたる安倍總理も遂に二品に至らず、源三位に終れるかと、官邸宇治の院と化するを見遣るにつけてぞ心殘りなる。

 右は昨年の所感なり。その後安倍首相辭任の理由は病氣にて即日慶應病院に入院の報あり。代表質問に答へ終りて議政壇上に倒れて後の入院ならましかばと思ふは爲ん方無き後智慧に過ぎざるも、次の福田總理既に辭任、麻生新首相への代表質問の今日、時を同じうして米國にては、金融危機に當り多額の公的資金投入せんとする法案、下院にて否決などあり、歴史の齒車の人力を超ゆる動きを目の當たりにし、改めて我が民族の運命容易に測り知るべからざるを思ふ。(平成二十年九月三十日)



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