文語日誌
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文語日誌(平成十九年三月)
     
                  市 川 浩

西高混聲合唱團
三月二十四日(土)晴




 高校同期の土橋康邦兄代表を勤むる同窓會混聲合唱團、第一囘演奏會を濱田山會館にて聽く。令夫人受附に立ち給ふに久闊を敍し、祝意を表す。會場二百數十の席ほぼ滿席の盛況となるも、同期生見當らざるを憾む。第一ステージは英獨墺米のホームソングを日本語譯にて唱ふ。いづれも文語譯なればにや技術を超ゆる感動傳はる。第二ステージはPTAの女聲合唱團の贊助出演、休憩後兩合唱團の合同にて清水重道作詩、信時潔作曲の「沙羅」より二曲を唱ふ。現在の西高校歌もこの二人の作品なりし縁によりて選曲せられたりとぞ。この詩も亦文語體なるを嬉しく聽きたり。土橋代表も自ら舞臺に立ちてバリトンを受持つ。最後に聽衆と共に、これも文語詩の瀧廉太郎作曲「花」を合唱して終はる。音聲言語としての文語體の底力を痛感せる一日となれり。



 あづまやの 清水重道 作詩 信時潔作曲 組曲「沙羅」より



あづまやのまやのあまりに立ちぬれて
殿(とん)の戸あけと言ひし人もが



鎹(かすがひ)も頑(とざし)も無しと言ひし人もが
五月雨に我訪ひくれど門さして
君はいまさず憎やこの君


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