文語日誌
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文語日誌(平成二十二年四月十九日)
     
                  兒玉 稔

中國我國民を處刑



 麻藥に關はりたる我國民數人中國にて刑せられ、鳩山首相遺憾の意表明せり。


メディアは、罪と罰が釣合ふか、裁判手續妥當か、死刑執行性急に過ぐなどを不滿とす。はたして然るか。


彼らは中國に招かれて行けるにあらず。空港にて許可を求め、許されしゆゑ彼地にあり。即、明示せざれども該地の法を守ること了解したるに相違なし。約束を違へて法破りし上はその法にて處斷せらるるは當然なり。


罰過酷との評あり。我國の法に照さば然なり。されど法はその國の歴史踏まふ。阿片戰爭に因る他國の蹂躙受けし國の麻藥への思入れ、取締方を他者論ずべからず。駐車違反等微罪を以ての死罪ならざれば滿更過酷とは言得ざらむ。裁判の方法、刑の執行同斷なり。


我は首相むしろ中國に對し申譯なく思ふべしとす。國民は國なる組織の一員にて首相はその責任者なり。組織内の一員、他所にて害なせる時まずは「我國民、貴國に迷惑かけたる申譯なし」とするこそ見まほしけれ。しかる後、命を絶つほどの事なるか糾すべし。子、他家にて不始末ある時、親まず詫ぶるは日本のならひ。


數人の中には本邦にて罪犯したる後に出國せる者あり。刑法理論中、教育刑主義は罪人を捕へ刑を課して教育し更正せしむるを國の役割とす。これ親が子を時には體罰を與へ訓育するに同じ。國その役目を疎にして罪人を 繫けいばくせず、ゆゑに國外に出、新なる罪犯して遂に命失ひたり。國内にて捕へ置かばなほ生き長らへ、心入替ふること無きにしもあらざるものを。


首相は國が役割を果し得ざりしこと遺族に對しても面目なしとすべし。


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