文語日誌 |
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文語日誌(平成二十一年十二月十日) 兒玉 稔 文化傳承と地球壽命 三十餘年前、プロ野球長嶋選手現役引退の時いはく「巨人軍は不滅なり」と。 地球は掛替無き星と言ふ。この星を次世代に殘すは我らがつとめなり。地球温暖化説が虚實知らねども、天下にこの星を慈しむの議論盛んなるは喜ばし。 我は日本の景色山川草木も永遠に殘したし。日本の自然は諸外國に比すとも極めて清らなり。 日本の文化傳統また絶つべからず。歐米諸國の文物わが國に入り初めてより、そが吸收にかまけ我國古來の文化輕んずる風潮止むことなし。更に、映畫、テレビ、近くはゲーム機などの電力使用する文化藝能、殊に若者に膾炙し放置せば古きもの殘らざる如し。 さりながら、若者も年齡重ぬれば古きものの宜しきに氣づき宗旨換へして傳統護る側につくことまた珍しからず。宗旨換へせむにも引繼ぐべき文化絶えて無くば爲ん方なし。物事を代々傳ふるの肝心ここにあり。 然るに過日のテレビ科學番組我が心を搖らす。緩慢に移動中の世界五大陸やがて集まりて一の陸地となり、因りて氣候變化し地表悉く砂漠化、つひには生物絶滅すと。その後、地球は膨張止まぬ太陽に呑込まるる定めなるこそあはれなれ。 長く傳へむ悠久の自然、不滅の文化いづれ消え去るものならば、眼前の萬物を次代に引繼ぐべき理いづこに求むべきや。 |