平成十七年正月
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平成十七年正月
     
                  愛甲次郎


 一日
東司より外を窺へば朝焼けの空に紫の雲棚引き、遠く鳥の声して静かなること限りなし。年越しの雪処々に残る。元旦は一幅の絵の如し。 散策に長原まで足を伸ばし疲れたるにや、睡意著しく午睡を取る。 讃岐宅にて恒例の夕食会、突然泰久現はる。ニュージーランドに約一週間釣を楽しみ、その帰途なる由。

 二日
今年酉年にして佐和子、余ともども酉年生れなれば守護尊たる目黒不動尊に初詣に罷り出でぬ。同不動尊、大日如来も併せ祀れば桜子にとりてもその守護尊なれば好都合なり。参道の蕎麦屋にて鍋焼うどんを取り、食後参詣す。護摩法要に加はり、帰宅す。 雲一つなき晴天なれども寒気厳しく、のどかなる新年なり。 帰宅後午睡三時間、惰眠を貪ること此の如く甚しきを怪しむ。

 三日
九時起床。年に似つかはしからぬ深き眠りなりき。瞑想一時間。満足りたる心地す。 散歩は長原までと思ひしに、殊の外の寒気に洗足池に留む。林檎とパンの古うなりたるを刻みて持参し、鳥どもに振舞ふ。鴎大いに騒げども好物には非ざるか。鴨も分前に与りたり。 法華経久々に八巻を誦了す。

 四日
洗足池の鴎至って敏捷にしてパンを空中に捉ふること当に神業なり。恒例の賀詞交換会に出でし後和田氏と共に三越の吉書展に赴く。岡崎大使出展の書観んが為なり。名士の書あまたあれどあの程度なれば余も亦出展する事を得べし。 月例の宗元会佐伯君講師を引受けたり。慶ぶべし。 賀状、メールの内に心温まるもの散見。良き慣しなり。 熊野君逝ける由。 津波被害の続報愈々勢を増す。





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