平成二十年三月二十日
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平成二十年三月二十日
     
                  愛甲次郎


 夜来の雨朝になりて愈々激し。七時前目覚めシャワーを浴び着換をなす。佐和子と共に食堂に下り朝食を取り支払を済せタクシーを呼ぶ。
 内宮前の広き道に水溢れたり。五十鈴川も已に濁流と化す。傘差す顔に雨かかれども空気澄みて清々し。社務所の辺り尾長き鶏雌鳥を従へて餌を啄む。本宮の拝所にて名を名乗り二礼二拍一礼を為せば垂幕風に揺ぐ。傍らに寄りて金色に輝く本殿の上を望むに大いなる気の塊飛来す。文語の苑守り給への祈りに神感応せりと覚ゆ。神楽奉納申込み、控室にて十分余待つ。神楽に参ずる者は我等親子のみなり。
 雨歇まずいと寒ければ外宮には廻らずタクシーにて直ちに五十鈴川駅に向ふ。ローカル線の事とて遅々として進まず、やうやう正午に至りて津に着く。駅前の大観荘なる鰻屋に入り名物ひつまぶしを食す。その分量普通のうな重の倍はあるべし。名物なれどなかなかの味なり。
 津よりは特急にて名古屋に到り、国鉄高島屋にて季節限定と称するおはぎういろうを求む。新幹線疾きこと矢の如し。まどろむ間もなく新横浜に着く。蜻蛉返お伊勢参り如此。





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