侃々院>「岡崎偶感」岡崎久彦
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  『文語名文百撰』刊行によせて
ご挨拶



文語の苑を創めてより、はや、五年のあらたまの年月を経ました。
始めは、資金も組織も無く、
見通しは、ぬばたまの真っ暗闇
いつあさつゆの消えるか分からないささやかな会でした。


しかし、なよたけの撓む心を打ち払ひ
初志を、梓弓振り起しつつ、何とか続けてゐるうちに、
有志の方々のご支援と会員の献身的な努力により、
やがてふゆごもり、春来る如く
あかねさす、朝となり、
みづとりの、浮き立つ日を迎へ、
本日の盛儀を迎へたわけであります。


そもそも「若き日の学び舎に、文語になじみし世代も今や古希を越ゆるにいたり、この世代去りし後、文語の消えゆくを惜しみて」創めたるプロジェクトではありますが、 その会員たちも、ももづたふ八十歳に近くなり、
さざなみの,寄る年波を思ふ年となり、
我が国の貴重な文化伝統が、たまのをの、絶ゆるのは如何にももったいなく思ひ、たまきはる命のかぎりは続けたく思ひますが、
うつせみの人の命ですから、いつまでわれわれがかうやって行けるか分からないので、おほふねの、あとの頼みを、若い人に託したく、今回の本を遺す所存です。


平成二十年七夕の日     岡崎久彦





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