侃々院>[大東亞戰爭詩史 列傳]清水 浩
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[大東亞戰爭詩史 列傳]  清水 浩


詩史列伝(その六)


■将帥列伝


大西滝治郎海軍中将


 真の航空出身といふべき将帥の殆ど無かりし陸海軍にありて、大西提督はパイロットからの生え抜きなり。早くより航空重視を説きて已まざりしも、航空機の劣勢に因り万策尽きし結果、自ら「統率の外道(げだう、邪道)」と称せし特攻作戦の創始者となりしは、悲劇といふべし。終戦時は軍令部次長なりしも、聖断下る直前に於ても徹底抗戦を唱道してやまず。その不可能なるを知り、部下の後を追ひて自決せり。剛胆なる彼らしき辞世を残す。


これでよし百万年の仮寝かな


壯歳早論重制空  
壯歳 早くも論ず制空を重んずるを


遠謀難覆守株風  
遠謀覆へし難し守株(融通がきかない。大艦巨砲主義)の風


滿腔血涙擇邪道  
滿腔の血涙 邪道を擇び


戰敗泰然殉盡忠  
戰さ敗れて泰然 盡忠に殉ず


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