侃々院>[大東亞戰爭詩史 列傳]清水 浩 |
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[大東亞戰爭詩史 列傳] 清水 浩 詩史列伝(その四) ■将帥列伝 栗林忠道陸軍中将 米軍の反攻開始以来、米軍死傷者の日本軍を上回りしは、硫黄島の戦が唯一にて、そを指揮せしは栗林将軍なり。爾(さいじ、ごく小さい)たる小島に縦横無尽の地下洞窟を張り巡らせ、驚くべき要塞を構築し、将兵に徹底せる訓練を施せし成果なり。 米軍は五日にて占領の計画なりしも、三十数日を要せり。敵軍上陸後も沈着冷静に戦闘を指揮し、米軍をして畏敬せしむ。息の絶えんとする捕虜に尋問せるも、悉く将軍に心酔し、激賞して已まざりきと、米軍司令官は記す。訣別の電報に添へて残せる辞世の歌の一は次の如し。 国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て散るぞ悲しき 彈丸孤島率精兵 彈丸(きはめて小さい)の孤島に精兵を率ゐ 壕窟縱横壯絶爭 壕窟縱横 壯絶に爭ふ 死迫洞中猶自若 死迫りるも 洞中なほ自若 敵軍頻頌將軍名 敵軍 頻りに頌(たゝ)ふ将軍の名 ▼ その五へ ▼「侃々院」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |