侃々院>[近衞上奏文]解説 市川 浩
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近衞上奏文解説 市川 浩



■第九囘


抑々滿洲事變、支那事變ヲ起シ、之ヲ擴大シテ遂ニ大東亞戰爭ニマテ導キ來レルハ是等軍部内ノ意識的計畫ナリシコト今ヤ明瞭ナリト存候。滿洲事變當時、彼等カ事變ノ目的ハ國内革新ニアリト公言セルハ、有名ナル事實ニ御座候。支那事變當時モ、「事變永引クカヨロシク事變解決セハ國内革新カ出來ナクナル」ト公言セシハ此ノ一味ノ中心的人物ニ御座候。


「解決セバ〜出來ナクナル」と文語、口語混淆するは本來好ましからず。


昭和十二年七月七日近衞内閣發足直後に勃發せる「支那事變」は當初不擴大を標榜せるも、解決の機悉く失はれ、「國民政府相手にせず」の近衞聲明(同十三年一月十六日)に至るや、事變は「東亞協同體」樹立の戰ひなりとて終結を殊更論ぜざる論議頻りに行はれたり。これらの論者戰後も活躍せる頗る多し。





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