侃々院>[近衞上奏文]解説 市川 浩 |
推奨環境:1024×768, IE5.5以上 |
[近衞上奏文]解説 市川 浩 ■第三囘 ツラツラ思フニ我カ國内外ノ情勢ハ今ヤ急速度ニ振興シツツアリト存候。即チ國外ニ於テハソ聯ノ異常ナル進出ニ御座候。我カ國民ハソ聯ノ意圖ハ的確ニ把握シ居ラス、カノ一九三五年人民戰線戰術即チ二段革命戰術ノ採用以來、殊ニ最近コミンテルン解散以來、赤化ノ危險ヲ輕視スル傾向顯著ナルカ、コレハ皮相且安易ナル見方ト存候。 「振興」は奮ひ起すの意にて、「内外の情勢」なる主語には「展開」或いは「暗轉」相應しからむ。或いは「シンコウ(進行)」の誤變換か。 *「カノ一九三五年…」、この年(昭和十年)コミンテルン第七囘大會にて、前囘大會(昭和三(一九二八)年)の「帝國主義戰爭から敗戰革命へ」の路線より合法面の活用を採擇し、暴力革命による赤化を一應急がぬ方針を見するにより「赤化ノ危險ヲ輕視スル傾向」生じたるらむ。但しその前年後述のゾルゲ・尾崎の諜報機關既に萌芽しをり。 ▼[近衞上奏文]解説 第四囘へ ▼「侃々院」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |