侃々院>[近衞上奏文]解説 市川 浩
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近衞上奏文解説 市川 浩



■第二囘


 敗戰ハ我カ國體ノ瑕瑾タルヘキモ、英米ノ輿論ハ今日マテノ所國體ノ變革トマテハ進ミ居ラス(勿論一部ニハ過激論アリ、又將來如何ニ變化スルヤハ測知シ難シ)隨テ敗戰タケナラハ國體上ハサマテ憂フル要ナシト存候、國體護持ノ建前ヨリ最モ憂フルヘキハ敗戰ヨリモ敗戰ニ伴フテ起ルコトアルヘキ共産革命ニ御座候。


 「憂フルヘキ」、「ヘシ(べし)」はラ變型を除き終止形に接續するものなれば「憂フヘキ」が正しく、また「伴フテ」は「伴ひて」のウ音便なるゆゑ「伴ウテ」とすべきところ。


「國體ノ瑕瑾」これまで敗戰を知らぬ我が國の歴史にとつての疵そのものはやがて癒ゆるも、もし共産革命併發せば取返し附かぬとの懸念を述ぶ。


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