加藤淳平 - 日本の文化傳統、如何にして切斷せられしや(前篇)- 七 |
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日本の文化傳統、 如何にして切斷せられしや(前篇) 加藤淳平 七 歐米人の二重規準 歐米に學び、歐米の社會に馴染みし日本人、歐米の概念、道徳律の、人種的、民族的、文化的境界内にのみ通用し、亞洲等、異人種、異民族、異文化の地域には適用せられざるを、往々にして看過す。されど歐米を深く知る者に、異論無からん。二重規準、即ちダブル・スタンダードは、歐米人が本性の如きものなり。 イラク戰爭にても、イラク軍の兵士の、長々と列を作りて投降し來たる姿を、米國テレビの放映しつつ、カタルなるアル・ジャジーラ放送の、米軍兵士の捕虜を映すや、米國人は「人權」を言擧げす。イラク人と米國人に、異なる規準を適用するに、疑問抱かざること是の如し。 斯る二重規準は、大方の歐米人の、之を認むるは稀なり。二重規準の指摘さるるや、怒り、指摘したる者を憎む。されど指摘せられざる限り、普遍理念の綺麗事を、平然と掲ぐ。世界の何處にも、其が適用せらるるを毫も疑はず。然るが故に、綺麗事を聞かさるる非歐米人、容易に騙され、歐米が普遍理念に、心服する者多きに至る。 ▼ 八へ ▼「侃々院」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |