加藤淳平 - 日本の文化傳統、如何にして切斷せられしや(前篇)- 二十七 |
推奨環境:1024×768, IE5.5以上 |
日本の文化傳統、 如何にして切斷せられしや(前篇) 加藤淳平 二十七 「日本人の分斷」 長期に亙りし米軍が日本占領は、日本人を分斷せり。分斷は日本社會全般に及び ぬ。言論界は米軍總司令部の直接の命令を受けたり。學界、全面的に占領軍に協力 す。 言論界、學界の外占領軍に協力せるは、教育界、勞働運動、婦人運動等なりき。教 育界に對する、總司令部が命令は、日本政府文部省を通じて傳達せられたるも、文部 省が抵抗は弱し。勞働運動家、婦人運動家共に占領軍が標榜せる改革に共鳴し、協力 せり。 斯して言論界、學界、教育界、勞働界、婦人界が指導者ら、米占領軍が指示に從 ひ、總司令部が支援を恃みて日本政府を輕視す。渠等と、日本政府・大企業關係者、 中小商工業者、農民ら、社會の多數者との間に深き意識の溝生じ、日本社會は分斷せ られぬ。 米占領軍の日本人分斷は、日本國内のみに非ず。在米日系人を日本人が意識の外に 置かんとせるは、前述せり。日系人と日本人と、同一民族なるに意識は分斷せらる。 日本人とアジア人、亦同じ。舊日本軍のアジア各地にて行ひし殘虐行爲と、アジア人 が反日感情の誇張・強調せられしにより、日本人が意識はアジアより離れぬ。 ▼ 二十八へ ▼「侃々院」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |