加藤淳平 - 日本の文化傳統、如何にして切斷せられしや(前篇)- 二十五 |
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日本の文化傳統、 如何にして切斷せられしや(前篇) 加藤淳平 二十五 「民族の裏切者(二)」 總司令部日本人檢閲員は、ラジオを通じ公募されたるも、大多數は、大學等の個人 關係に因り募集さる。滞米經驗者、英語教師、引退せる外交官・商社員等、年配者も多かりしが、壓倒的多數は若年層の人々にして、其が中心は、上述の如く少壯の一流 大學教員、學生らなりき。米國留學者も多かりきと推測せらる。 渠ら若き檢閲員は、勤務を通して得たる米國、米國人との繋り、國内の人間關係等を利用し、戰後日本に於て優位に立ちたるべし。大多數の人、戰後の日本にて、指導 的地位に就きたり。著名人、亦多數を算ふらし。されど指導的地位に就きし人、或は著名人に、總司令部檢閲員たりし經歴を明らかにせる例(ためし)無し。 後悔に堪かね、沈默を守る者も有らん。されど大多數はさに非ざるべし。若き頃賣國奴となり民族の裏切者たりし者、悪魔に魂を賣りしが如し。世間的成功を收むと雖 も、眞當なる生き方に戻るを得ざりしなるべし。 「虐日的日本觀」或は丸山理論が如き日本認識は、心の疚しさに苛まれたる渠等民族の裏切者に、自らが正當化と、心の傷を癒す手立てを與へしに非ずや。 ▼ 二十六へ ▼「侃々院」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |