加藤淳平 - 日本の文化傳統、如何にして切斷せられしや(前篇)- 二十一
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日本の文化傳統、
     如何にして切斷せられしや(前篇)
                  加藤淳平


二十一 占領軍の行動


 米軍日本占領初期の檢閲と洗腦工作、日本人を日本古來の文化傳統より切斷せんとし、之に成功せる事明らかなり。されど之を以て、米國を非難するを得るや。否、然 らざるべし。米國、自國が利益を圖りしに過ぎざればなり。


 占領前期の、米占領軍が占領目的は、敍上の如く、日本をして、再度米國に戰爭を仕掛くる能はざらしむるに在り。米軍將校ら、日本の米國に戰爭を仕掛けしは、國内 の困難を解決し得ずして、國民が關心を海外に向けんが爲なりきと見ぬ。斯く見たれば、日本社會の變革と民主化を經て國内の困難を減ぜば、日本の、米國に戰爭を仕掛 くる原因除去せらるべし。此は、米國が利益なり。


 占領初期、米占領軍の、日本民主化を目指し諸改革を實施せるは、斯る論理に基づきたるなり。米國人に特有なる獨善性、押付けがましさあれど、同時に、日本を、米 國人が價値觀に於て、良き國にせんとの善意亦ありしを否定し得ず。


 占領初期に在りては、米軍、敵地に乘込みたり。日本政府、間接統治を受くるも、面從腹背を事とす。米軍は日本政府より、米軍に忠實なる日本人協力者を求めたり。 之に應じ占領開始當初、最も緊密に米軍に協力せるは共産黨なりき。日本の學界に米軍の標榜せる改革と民主化に贊同せる者多く、米軍に協力す。共産黨は、米國とソ連 (ロシア)との間に「冷戰」の勃發したる後、米軍との關係惡化し、學者ら對米協力者が中核となりぬ。


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