加藤淳平 - 日本の文化傳統、如何にして切斷せられしや(前篇)- 二十 |
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日本の文化傳統、 如何にして切斷せられしや(前篇) 加藤淳平 二十 日本人洗腦の成功 日本の敗戰後、日本を占領せる米軍、當初敵對的たりし日本人を全面的に洗腦する に稀代の成功を收めたり。如何にして斯る目覚しき成功の得られしや。 洗腦に、確立せる技術あり。先づ全ての知覺を切斷し、腦内を白紙状態にす。其處 に繰返し同一方向の情報を入力せば、人は意外に容易に洗腦せらるると言ふなり。オ ウム眞理教教團、斯る技術を多用し信徒洗腦に成功せるは、未だ我らが記憶に新し。 米占領軍の用ゐたる技術も、基本的に同樣なりき。米軍檢閲の目的を、江藤淳は、 「日本人にわれとわが眼を刳り貫かせ、肉眼の代りに米製の義眼を嵌めこむこと」 (『閉ざされた言語空間』第二部第三章)なりきと分析す。斯く、自らの眼にて知覺 する力を奪ひ、其處に大量に同方向の情報を注入せり。 情報注入は、米軍自體行ひしのみならず、日本人協力者、亦作業に協力す。丸山眞 男の、斯る協力者の一人たりしは疑ふ可からず。蓋し丸山理論、或は丸山政治學と呼 ばるる丸山が政治理論は、米占領軍の洗腦工作に、學問の衣を纏はしめたるが如きな ればなり。 米占領軍が洗腦工作、人類歴史上稀なる、成功を收めぬ。戰後の日本人の、見事に 洗腦せられしは、米軍が工作の、巧みなりしのみに非ざるべし。日本人協力者あれば こその成功ならずや。 ▼ 二十一へ ▼「侃々院」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |