加藤淳平 - 日本の文化傳統、如何にして切斷せられしや(前篇)- 十七 |
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日本の文化傳統、 如何にして切斷せられしや(前篇) 加藤淳平 十七 對日本人宣傳弘報活動 米占領軍が日本人洗腦工作は、總司令部民間檢閲部の實施せる檢閲と、民間情報教育局(CI&E)の行ひし宣傳弘報活動と、車が兩輪なりき。米軍總司令部は、私信に至るまでを檢閲せるに因り、日本人輿論の動向を正確に把握せり。斯る輿論動向を前提とし、之に影響を及さんと宣傳弘報活動を進めぬ。 米占領軍の宣傳弘報活動は、多方面に亙りて行はる。占領下に幼少期を送りし人は、想起すべし。ララ物資と呼ばれし救援物資の米國より大量に屆けられ、當時の物資缺乏せる日本人にいたく喜ばれしを。此のララ物資の大部分、實は廣く米國全土にて、日系米人の敗戰後の同胞が困窮を救はんと、寄贈せる物資なりき。されど米軍は事實を隱し、米國人よりの贈物とて日本人に配布せり。 事實を知らされざりし當時の日本人、支援物資は、一般米國人、特に歐州系白人の博愛主義的動機より贈らると信ず。斯くて戰後の日本人は、米國歐州系白人に、感謝の氣持を抱きぬ。然れども日系米人は、其の親切を知らされざるがゆゑに、日本人の視野に入らざりき。いかでか感謝するを得む。啻に感謝せざるのみならず。戰後の日本人、日系米人を、歐州系白人より一段下に見、輕侮の念を持ちぬ。日本人が民族的一體感の破壞せらるる事、茲に及べり。 ▼ 十八へ ▼「侃々院」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |