趣 意 書

『文語の苑』 (文語文による交流のためのウエブサイト)

それ文語文は、口語の俗に比すれば雅、冗長ならずして直截に、筆者が思考、感情を傳へ、しかも讀む者をして筆者が心中の陰翳をも感得せしむ。
然れども、文語の廢れて既に久し。近時の日本語文の冗長低俗なるを見るにつけ、往時の文語文に、達意にして雅趣ある文章少なからざりしを想ひ、これを後世に傳ふるすべなきやを思ふ。
更に、文語はただに古人の心を傳ふるのみにあらず。今人の意を陳ぶるに用ゐば、そは現下の日本語の亂れを匡す一助とならむ。
古文の復活を掲げて精神作興を圖りしこと、古今東西に例多し。われら近來頓に荒廢せし人心を新たにし、失はれし民族の遺風を囘復せむとの願ひを、文語文の復活に託するなり。古文の格調と古語の美を今日に生かし、國語の醇化發展に一石を投ずるを得ば、われらが欣快これに過ぐるものあらじ。
若き日の學び舍に、僅かなりとも文語になじみし最後の世代も、今や古稀の齡を越ゆるに至れり。この世代去りし後、あへて文語復活を試むる者あらむや。先人の磨き上げし文語の消え行くは、見るに忍びざるものあり。
ここにわれら、電腦空間を借りて、現代の文語復活の擧に加はらむとする同志を募る所以なり。願はくは、文語文を綴りて投稿せむとする醉狂なる者の、一人にても多からむことを。

以上
平成 二十年十月二十日