十五

初夏 (夏日偶作其のニ)

滿院竹風凉有餘
新梢揺翠弄龍鬚
憐他窓紙添清影
寫得瀟湘一幅圖


初夏

滿院ノ竹風 凉 餘有リ
新梢 翠ヲ揺ラシ 龍鬚ヲ弄ブ
憐他ス 窓紙ニ清影ノ添フヲ
寫シ得タリ 瀟湘 一幅ノ圖


庭のむら竹吹きわたる 涼しき風の余りあり
若き竹枝は翠なる 龍鬚似たりて風さそう
美しきかな竹影の 窓の障子に映えあらば
清かる姿写し得て 瀟湘の竹 圖とならん

(文化十ニ年夏)

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