和歌物名 萩野貞樹 さいつ年五十人がほどの担任生徒、卒業の日に揃ひ来りてサイン帳を差し出だ したりければ、子らの名を物名・折句によみてつかはしける いとう ほづえ(伊藤秀枝) 眞玉ぬく細綾の絲うつくしき五百つ枝交 はす森は空晴る いひづか くみこ(飯塚久美子) とも言ひつかくも語りて四年去れど眞清 水を汲み來よ又も見む かうの みかこ(河野美佳子) 君去るを斯うのみ託ちをらむやはあらじ 行く手は光満てるを こじま みさ(小島美砂) 君見えぬ時來めやとぞ思ひこしまみさや かなる人にはありけり たかだ よりこ(高田頼子) 眞玉なし光うたかた寄り來よと言へどと らえぬ君にはありけり とほやま ゆみこ(遠山由美子) 行く人をつつみ目(ま)守(も)るかとほ山 ゆ見越さんほどの明かき月影 よしだ まゆみ(吉田真由美) ひもろぎの神の水清し玉弓の風切る音の いよよ冴ゆるも あべ みよこ(阿部美代子) あひ知りて 経にける年は みとせのみよ も行き果つな 來む時待たむ ▼「文藝襍記」表紙へ戻る ▼「詩藻樓」表紙へ戻る |