(下座の響音の轟く。) ![]() ![]() ![]() ![]() (ト)王の出場と共に、舞台上、明るく絢爛たり。 王城の王の間なり。王中央に立ち胸を張り、手をひろげ、 王 「赤き大地の牧人はオリーブの畑守りけり。丘の上なるカテドラル、鐘つき堂の男の老い、鐘の音色も柔らぎて、大砲磨きをる兵士等も母の教へを想ひたり。母の御懐想ひけり。」 義太夫 ![]() 王 「無窮なる天空渡り、雲は見る、奥のハレムに守りゐし、老いて尊き母上の日毎の慣ひ、天を仰ぎ安寧希ひ祈りけり。吾が御心を祈りけり。」 常盤津 ![]() 王 「大陸の王者の如きオリーブの大樹の啓示受けとめよ。」 (ト)王、マントをひろげ一周。マントを収め立つ。扇をひろげ 長唄 ![]() 常盤津 ![]() 長唄 ![]() 常盤津 ![]() 義太夫 ![]() 長唄 ![]() 義太夫 ![]() 常盤津 ![]() 長唄 ![]() (ト)少し悲しげなる絃の音色。 長唄 ![]() 義太夫 ![]() 常盤津 ![]() 長唄 ![]() (ト)近衛郷に向かひ 王 「解されよ。卿。」 「奪ふものなど何も無い。幸せな一夜を安らぎを贈り与えよ。」 (ト)公女の方へ向かひ力付けて 王 「汝の琴の音の如く凛然として居よ。」 (ト)限り無く豪麗なる動きに公女の衣装きらめく。 義太夫 ![]() (ト)舞台動き。 内膳の長 「新しき料理を運ばん。」 (ト)人々、ペアの人も華やかにどやどや動く。 |