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■よろづ帳  著者:長屋生 校正者:市川浩


その一


○明治の文士斎藤緑雨に短文輯おぼえ帳ひか
え(=へ)帳の二編(=篇)あり。その文、軽妙洒脱にして文語文の粋を凝らしたる名文揃なり。吾もこれに倣ひて、茲によろづ帳と称する一をば物さん(=せむ)とす。さて、緑雨と吾とを比するに、その文才において雲泥の差あれば、倣ふといふは
お(=を)こがまし、蓋し猿真似とこそ称すべきものなれ。庶幾(コイ(=ヒ)ネガハ)くは吾が文の内容の乏しきと文体の拙し(トル)きとに暖かき眼差しを注がれむことを。


◆ 「編」は「あむ」の意、この場合「篇」の同音書換字にて避くべし、以下同じ、青字にて示す


◆ 「粹を凝らす」面白き表現なれど、「粹すい」は「集む」、「盡す」。「凝らす」は「息」、「工夫くふう」、「瞳」など。特に「粹」を「いき」として「イキヲコラス」(「息」と「粹」)となる虞も


◆ 「名文揃」は名文揃「へ」と送りて、「ゾロヘ」と訓みたく、「ゾロヒ」は口語


◆ 「拙」は「つたなし」が普通で「ク活用」、「まづし」と訓む場合も「ク活用」、「貧し」の「シク活用」との區別あり。


◆ 「こひねがはくは」は願望または命令形に照應、「注ぎたまへ」またはこれを省略す



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