侃々院>「岡崎偶感」岡崎久彦
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  岡崎久彦


  四月十一日  喜壽の詩    


 四月六日、岡崎研究所有志相集ひて、小生喜壽(生誕日四月八日)の小宴を賜ふ。白頭頽齢にしてこの賀を享く、果報身に餘るものあり。


 宴後王蒼海先生一詩を寄せ賜へり。私事を記するもをこがましくは存ずるも、蒼海先生の學識に改めて讃嘆のあまり、敢へて偶感に記載す。


謹祝粤王大人喜壽宴。併前日有報總理將諮政於大人、有感。
(謹んで粤王大人の喜壽の宴を祝す。併せて前日に総理將に政を大人にはからんとするを報ずるに感あり。)


粤海詩成顧正名 粤海に詩なりて、名を正さんことを顧み、
王公説服重同盟 王公説き服す、同盟を重んぜんことを。
喜逢盛世功將立 喜び逢ふ、盛世に功まさに立たんとするを
壽延瀛寰大道行 壽の瀛寰に大道おこなはるるまで延びんことを。


【大意】
 欽差大臣・林則徐は「粤海即事詩」で憂国の思ひを吐露して、大義名分を正さうと志しましたが、大人も數多くの著作で、これまで名分を正されようとしました。 春秋の世では、王公は同盟を重んじることを徳義を以て説得しましたが、大人のこれまでのご努力は、それに比すべきものです。
 今は幸ひに指導者を得た世となり、大人の永年の功もまさに成らうとされてゐます。
 どうか、天下に大道が行はれる大同の世まで、お元気でご活躍されることをお祈り申し上げます。


【典故】
禮記・学記 「近者説服而遠者懷之。此大學之道也」
書經・大同書 「大道之行也、天下爲公」



【格律】
七言絶句 仄起式平韻(八庚)正格 


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