加藤淳平 - 日本の文化傳統、如何にして切斷せられしや(前篇)- 三十
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日本の文化傳統、
     如何にして切斷せられしや(前篇)
                  加藤淳平


三十 結び


 現代の日本人の文化傳統より切斷されしは、占領初期に米軍の實行せる假借なき檢 閲に因り言論を管理され、僞りの言葉と思考を強制せらるるに發す。更に言論と教育 を通じたる洗腦は、日本人多數に自國を貶め見せしめぬ。斯くて日本人は、自國への 誇りと愛國心を失ひ、自らが傳統と文化を恥とするに至れり。


 但し、何れも米軍のみの所業に非ず。米軍が檢閲に日本人檢閲員あらざれば、檢閲 は機能し得べくもあらず。洗腦工作は、米軍協力者が緊密なる協力ありて、效有りし に非ずや。斯く米軍に協力せし者に、南原繁、丸山眞男ら學界出身者多かりき。


 占領初期に、米軍、共産黨、學界米軍協力者相諮りて、特異にして破壞的なる「虐 日的日本觀」を造上ぐ。其は以後、丸山政治學等の學問的扮裝を凝らし、戰後日本の 學問、言論、教育を支配せり。日本人の自信を喪失せしめ、凡て日本的なるものを劣 等視せしめぬ。宜(むべ)なる哉、日本が文化傳統の無慙に切斷されし事。


 されど日本が文化傳統切斷占領期に發せるも、大方は、占領の終了し日本が獨立囘 復せる後に進行せり。後篇に其が過程を辿らむ。


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