逆旅舎>泰通信 第三十一號 |
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泰通信 (第三十一號) 平成十九年十二月 大口 憧遊 三萬人の盆踊り ♪つーきが でたでた つきがーでたー よいよい 聞き慣れし歌聲を耳にしつつ人の輪に交りて炭坑節を踊る。洵に人生は樣々なり。齡七十五にして泰國にて炭坑節を踊るとは思はざりき。日泰修交百二十周年の掉尾を飾る「日泰祭二○○七」は奇しくも大東亞戰爭開始日の十二月八日、泰國立竸技場にて開催、泰人と在泰邦人等延べ三萬人が盆踊りを樂しむ。 盤谷都心部二萬五千人收容の特設會場は夕刻より見渡す限りの人波。外周には食べ物屋、金魚釣り等の屋臺透き間なく竝び、中央櫓上にて日本人會婦人連が和太鼓に合せ達者なる踊りを披露、小林大使夫妻も加はる。特設舞臺にては日本より參加せる阿波踊り、傳統の泰踊り等々。 圓形廣場にては、揃ひの法被姿の日本人學校小學生三百餘人「よさこいソーラン節」を踊れば、赤き衣裳の泰人小學生二百人も泰の踊りを披露、その後共に東京音頭にて交歡の雰圍氣を盛上ぐ。 夜十時過ぎ、プーミポン國王八十歳の賀を壽ぎ日本の仕掛花火夜空を彩る。泰人からも「スワイ(綺麗)」の聲頻りなりき。 日本人會の大會實行委員長岩崎精一氏(日本航空盤谷支店長)によるに、大會總費用は七百萬バーツ(約二千四百萬圓)、大半は經團連と傘下日本企業の基金にて賄へりとぞ。 歐米、亞細亞各地にても盆踊り大會を開く例は多けれど、參加者三萬人は珍しく、過半は泰人なりと聞きて驚く。浴衣姿の日本人に人氣集まり共に記念撮影する光景を各所に散見す。 盤谷に於ける盆踊り大會は昭和六十二年以來九囘目。今年は日本人會、在泰日本大使館共に格別力を入れ、一枚二十バーツ(約七十圓)の入場券を企業大學等に依託して宣傳に努めし結果なれど、七萬人といふ在泰邦人(紐育、ロサンゼルス、上海に次ぐ世界都市四位)の底力を實感す。 十二月二十三日はクーデター後の改正憲法による初の總選擧。此の國の行方は依然不透明なるも、日泰修交百二十周年は、ともかく平穩に全行事を終ふ。 ▼「逆旅舎」表紙へ戻る ▼「文語の苑」表紙へ戻る |